外務・防衛
日米両国の対等な相互信頼関係を築き、新時代の日米同盟を確立します。そのために、主体的な外交戦略を構築し、日本の主張を明確にします。率直に対話を行い、対等なパートナーシップを築いていきます。同時に国際社会において、米国と役割を分担しながら、その責任を積極的に果たしていきます。
米国との間で自由貿易協定(FTA)を推進し、貿易・投資の自由化を進めます。
日米地位協定の改訂を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方等についても引き続き見直しを進めます。
中国、韓国をはじめ、アジア諸国との信頼関係の構築に全力を挙げます。
東アジア共同体の構築を目指し、通商、金融、エネルギー、環境、災害救援、感染症対策等の分野において、アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立します。
アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との間で投資・労働や知的財産など、広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進します。
東アジアや世界の安定と平和に寄与するために、日韓両国の信頼関係を強化します。
韓国は、6者協議の当事国でもあり、良好な日韓関係の再構築は、北朝鮮による拉致・核・ミサイル問題の解決はもちろん、朝鮮半島の平和と安定のために重要です。東アジアや世界の安定と平和に寄与するため、両国の信頼関係を強化し、さらに日韓中3カ国の強力な信頼・協力関係を構築していきます。日韓FTA締結や竹島問題の解決等に取り組みます。
中国は日本にとって極めて重要な隣国であり、東アジア地域の平和と繁栄のためにも、さらに友好協力関係を促進します。
両国間には、食の安全、人権、環境、エネルギー、軍事力の透明化、東シナ海ガス田開発等の懸案事項が横たわっています。両国首脳間の強固な信頼関係を築きあげ、懸案となっている諸問題に関し、建設的な話し合いによる問題解決を目指します。
北朝鮮の核開発問題等を解決する上でも、6者協議の場や中朝間で中国が一層の建設的役割を果たすよう、働きかけを強化します。
民主党と中国共産党との間で設置した「交流協議機構」を通じ、両党間の継続的な交流・協議を行い、信頼関係を一層緊密なものにします。
台湾との民間ベースでの経済的・文化的交流を促進します。
2005年、日米安全保障協議委員会の共同発表における共通の戦略目標として、台湾に関する記述がなされました。民主党は、台湾の一方的な独立を支持せず、同時に中国の台湾に対する武力行使については反対します。台湾海峡をめぐる緊張が生じないように中国・台湾にあらゆる予防的働きかけを行うことを最重要課題の一つに位置付けます。その際、1972年の日中共同声明が前提となることは当然のことです。
北朝鮮が繰り返す核実験とミサイル発射は、わが国および国際の平和と安定に対する明白な脅威であり、断じて容認できません。
北朝鮮に大量破壊兵器やミサイルの開発・保有・配備を放棄させるため、米韓中露などの国際社会と協力しながら、国連安保理決議に基づく貨物検査の実施や北朝鮮に対する追加制裁の実施も含め、断固とした措置をとります。
拉致問題はわが国に対する主権侵害かつ重大な人権侵害であり、国の責任においてその解決に全力を尽くします。
経済・文化交流の活性化や、資源開発への協力などを通じて、日露関係を深めます。北方領土の早期返還に向けて、粘り強く交渉に臨みます。また、6者協議の当事国として、北朝鮮問題の解決のため、一層の協力を求めます。
領土問題の解決は、困難を伴うとともに相当の時間を要するものです。わが国が領土主権を有する北方領土・竹島問題の早期かつ平和的解決に向け粘り強く対話を積み重ねます。
海上輸送の安全確保と国際貢献のため、適正な手続で海賊対処のための活動を実施します。
わが国の海賊対策は、一義的に海上保安庁の責務です。海洋の安全確保のため、海上保安庁の体制整備を図ります。ただし、海上保安庁のみでは対応が困難な場合は、シビリアン・コントロールを徹底する仕組みを整えた上で、海賊発生海域に自衛隊を派遣することも認めます。
あわせて、国際間における海上警察の連携の促進、関係諸外国の海上警察の能力の向上のための支援等、海賊行為に適切かつ効果的に対処するために必要な国際協力を実施します。
テロとその温床を除去するためには、「貧困の根絶」と当該国の「国家としての再建」に日本が積極的な役割を果たすべきです。
NGOとも連携しつつ、経済的支援、警察行政改革を含めた統治機構の強化、かんがい事業・医療・物資の輸送を含めた人道復興支援活動等の実施を検討します。
イスラエル、パレスチナの政治情勢の変化を注視しつつ、真の中東和平実現に向けて、イスラエルとパレスチナ間で早期に和平合意が達成されるよう、国連や米国はじめ関係諸国とともに、双方に積極的に働きかけていきます。また、国際協力機構(JICA)等を通じて行っている対パレスチナ支援を強化し、経済復興や信頼醸成を促進します。
ユーロ通貨統合やEU拡大など、欧州が新たな動きを見せるなか、わが国と欧州各国やEUとの関係は、政治的にも経済的にもますます重要になっています。欧州における政策動向についての理解を深めるとともに、国際テロ対策での協調、世界貿易機関(WTO)、経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)交渉、環境問題等について、アジア欧州会合(ASEM)や主要国首脳会議(G8)などの場を通じて、相互の連携の強化と深化を図っていきます。
深刻化する世界の貧困問題と「人間の安全保障」の実現は、日本の国際協力分野における最重要課題です。一国だけでは解決できない環境・砂漠化・難民・貧困・感染症問題などの「人間の安全保障」への取り組み、ミャンマーやジンバブエをはじめとした国々の民主化を支援します。
政府開発援助(ODA)を抜本的に見直し、相手国の自然環境の保全と生活環境の整備に重点的に援助することで、日本が地球環境の保全で世界をリードする地位を築いていきます。また、情報公開や外部監査・業務評価を徹底させ、透明性・効率性を確保するとともに、他の援助国・国際機関等との協調・連携を深めることで、援助対象国のニーズに合った無駄のない援助を行います。ODAを補完するための新たな資金メカニズムも検討します。
特にアフリカに対する重点的な支援も重要であり、各国と協調し、2015年までのミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて、日本の行動計画の策定やODAの積極活用を含む支援強化を図ります。
国際協力においてNGOの果たす積極的な役割を評価し、開発援助政策の策定・実施への参画拡大など連携を強化します。
※男女共同参画の視点に立った国際協調参照国連には、紛争解決能力の限界や非効率な運営などの問題が指摘されています。日本は、国連が国際の平和、安全と繁栄に対してしっかりと機能するよう、国連改革に主体的・積極的な役割を果たすべきです。膠着した国連改革を抜本的に立て直し、安保理の構成や拒否権の見直し、敵国条項の撤廃を求めるとともに、国内世論と加盟国の支持を前提にわが国の常任理事国入りを目指します。また、国連との連携強化という観点から、日本人国連職員の増加を求めていきます。
唯一の被爆国として、世界の核廃絶に向けて日本が先頭に立ち、行動します。わが国が主導して、核保有国の理解を求め、非核保有諸国やNGO等と連携を取りつつ、核軍縮の取り組みと実効性ある査察体制の確立を含む核不拡散体制の強化を積極的に進めます。2009年4月、オバマ米大統領が「核のない世界」に関するスピーチを行った機会を捉え、2010年に予定されている核不拡散条約(NPT)再検討会議において、NPT体制の維持・強化に向け主導的役割を果たします。
米印原子力協定をめぐり、NPT未加盟のインドに対する輸出規制の例外扱いを認めることは、NPT体制の形骸化を招くと同時に、NPT未加盟のパキスタンやイスラエル、NPTを脱退して核開発を進める北朝鮮、NPTに加盟したままウラン濃縮活動を続けるイランに誤ったメッセージを送ることになりかねません。インドにNPT加盟を強く求めると同時に、国際社会に働きかけ、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や兵器用核分裂性物質生産禁止(カットオフ)条約の推進、北東アジア地域の非核化など、核廃絶・核軍縮・核不拡散への努力を継続していきます。
ミサイル防衛は、その必要性を踏まえ、抑止的・政治的効果や、日米同盟強化、技術的可能性、費用対効果など総合的な検討を加えることが必要です。2009年4月の北朝鮮によるミサイル発射の際には、万が一の事態に備え、初めて迎撃ミサイルの実戦配備が行われました。ミサイル発射情報の誤探知や情報伝達体制の不備など、明らかになった問題を踏まえつつ、自衛権行使のあり方も含め、シビリアン・コントロールを徹底する見地から、国会の関与、国民への公表、迎撃の原則等について、さらに検討します。
専守防衛を国是とするわが国にとって、情報収集・分析・対応能力の向上は喫緊の課題です。不審船・武装工作船やミサイル発射の意図、北方領土での漁船拿捕(だほ)など、わが国に対する脅威、威嚇を事前に察知し、専門家による継続的かつ総合的で徹底的な情報収集・分析を行う組織の抜本的な強化が必須です。
一方、国民の安全やシビリアン・コントロールを確保していく見地から、情報の開示基準や保全のあり方を見直し、情報管理の適正化を図ります。
日本国憲法の理念に基づき、日本および世界の平和を確保するために積極的な役割を果たします。自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9条にのっとって行使することとし、それ以外では武力を行使しません。
国連は二度にわたる大戦の反省に基づき創設された人類の大いなる財産であり、これを中心に世界の平和を築いていかなければなりません。
国連の平和活動は、国際社会における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権国家の自衛権行使とは性格を異にしていることから、国連憲章第41条および42条によるものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加します。
防衛省の抜本的な立て直しが喫緊の課題です。まずは、シビリアン・コントロールの徹底と防衛調達の透明化、オフセット取引(武器等の輸出の際に相手国政府または企業に対して経済的な補償を約束するもの)の検討を含む適正化に取り組みます。
自衛隊員の充足率を高めるため、自衛隊の活動の国民への理解を図ります。