第二章 『次の内閣』の活動行政改革 |
行政改革推進法案
対案を提出し論戦に挑む |
市場化テスト法
生活者の立場からサービスの質の向上を |
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2005年の「橋梁談合」や、2006年初の防衛施設庁談合など、民主党の調査により、天下りを背景とした談合体質の政府全体への蔓延が明らかとなった。同時に真の構造改革実現には、政府の全ての事務事業を点検し、不要なものは廃止、地方でできることは地方に移譲することが不可欠と民主党は考えていた。しかし、政府提出の「行政改革推進法案」はこれら最重要課題を含まない、脈絡のない中途半端な改革案の寄せ集めであった。 民主党は対案を提出民主党は、衆議院では政府全事業の見直しとそれに基づく国・地方の役割分担明確化、天下り規制強化及び入札改革に加え、借り手の立場に立った政策金融改革、31特別会計中28会計を廃止する特別会計改革、公務員制度改革等を盛り込んだ、独自の「行政改革推進法案」を提出したが、法案は否決された。 参議院では、天下りを背景とした談合、随意契約等、税金のムダづかい体質を解消するために、随意契約に関する情報公開を徹底する会計法改正案及び天下り規制強化法案を提出したが、法案は継続審議となった。 与党は政府案を強引に成立させたが、民主党の追及、対案等の提出により、天下り、随意契約等に関し、国民の大きな関心を呼んだ。 |
内閣府より提出された「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」(市場化テスト法案)は、これまで国・地方公共団体にて行われてきた公共サービスの一部について、「民間でできることは民間に」との観点から、官と民の競争入札(官民競争入札)等を活用することによって、サービスにかかる経費を削減し、質の向上を図ることを目的とするものである。 生活者の視点からの修正を勝ち取る本法案は行政改革関連法案と一括して行政改革特別委員会にて審議されたが、「経済効率性を優先するあまり、サービスの利便性や安全性の低下を招かないのか」との懸念の声があげられた。なお民主党は、2005年の総選挙マニフェストにおいて、市場化テストを進化させ官民双方から競争によって優れたサービスを低廉に提供する主体を選ぶ「生活利便性向上テスト」を提唱したところであるが、本法案に対しても、「生活者の視点からサービスの質の向上を図るよう配慮する」必要があるとして、その旨の条文を追加修正するよう求めた。交渉の結果、与党がこの修正を受け入れたので、政府案に賛成することとし、法案が成立した。 |
民主党は、行政改革プロジェクトチームを設置し、行政改革について活発に議論を行った。談合・天下りについて実態を明らかにし、衆議院においては行政改革推進法民主党案を提出、参議院においては、天下り規制法案、随意契約等透明化法案を提出するなど、真の行政改革実現に向けて積極的に取り組んだ。
政府・与党は、164回通常国会に独立行政法人関連9法案(対象独法:47法人)を提出した。民主党では、決算行政監視調査会が中心となって、関係部門と連携して、対象独法について、関係省庁からのヒアリングや現地視察を行った。
独法関連法案は、その大半が独法職員の身分を「公務員」から「非公務員」に変更することを内容としていた(44法人・約1万2,000人の独法職員を「非公務員化」)。
一方で、国が交付する運営費交付金が増額されるなど、「改革」と矛盾するものも含まれていた。独法職員の身分を単に「非公務員化」するだけの政府案は、「天下り隠しの非公務員化」の謗りを免れないものであった。
独法化により、国会の監督を逃れ、また市場の評価の対象にもならない以上、その事業の妥当性・効率性をチェックするためには情報公開・第三者による評価が不可欠である。しかし、現在の独法は情報公開が十分ではなく、また評価も内輪の評価にとどまっている。これでは独法の行う事業を適正に評価することはできず、ひいては本来独立行政法人制度の期待されていた効果を発揮することもできない。
以上の観点から、民主党は、独立行政法人関連法案には、原則として反対することとしたが、法案はすべて成立した。
行政改革の最優先課題は談合・天下りであるとの考えから、民主党は、163回特別国会にて、衆議院に予備的調査を要請した。その結果、中央省庁や特殊法人など外郭団体の役職員として出向している国家公務員は、2万2,250人、天下り先団体数は3,962法人、天下り先への補助金等交付額は5兆円を超えることがわかった。
164回通常国会の予算委員会において資料要求を行い、中央省庁などの幹部OBを天下りとして受け入れた法人のうち、契約事業の受注や補助金などにより国から2004年度に1,000万円以上の支払いを受けた法人との契約の9割以上が随意契約であったという事実が判明した。省庁が無競争の随意契約で法外な契約を結ぶ見返りとして、天下りを公益法人などに受け入れさせるという実態が明らかになった。
また、過去5年間の各省の発注事業について、一般競争入札では、落札率97%以上が53%、94%以上が82%、指名競争入札では、落札率97%以上が49%、94%以上が72%と、「談合」が常態化していることも明確となった。
そのような中、防衛施設庁談合事件が発覚したが、これが氷山の一角に過ぎないことは明らかである。
政府は164回通常国会に、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」(行政改革推進法案)を提出した。しかし、政府案は、所要の措置について、これから定めていくというものが大半であり、中身に乏しい内容であった。また、行政改革と地方分権は不可分の関係にあるにもかかわらず、政府案にはこの視点が完全に欠如しており、談合・天下りへの対策も含まれていなかった。
民主党は、衆議院においては、「国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」(行政改革推進法民主党案)を提出して論戦に挑み、政府案の欠陥を浮き彫りにしたが、民主党案は否決された。(詳細→)
民主党は、衆参両院の予算委員会や衆議院の行政改革特別委員会の審議を通じ、談合・天下り問題の根絶無くしていかなる行革もないとの認識に立ち、参議院においては、「国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理のための国家公務員法等の一部を改正する法律案」、「特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限に関する法律案」(天下り規制法案)と「国が行う契約の過程及び内容の透明性の確保等による契約事務の適正化を図るための会計法の一部を改正する法律案」(随意契約等透明化法案)を提出し、両案ともに参議院内閣委員会にて継続審議となった。
天下り規制法案の主な内容は、(1)国家公務員等の離職後5年間、在職していた機関と密接な関係にあるものに就くことの禁止、(2)本省幹部の離職後10年間の再就職状況の報告の義務付け、(3)退職勧奨の制限、等である。
随意契約等透明化法案の主な内容は、(1)国による随意契約、指名競争入札について、徹底的な情報公開の義務付け、(2)随意契約、指名競争入札の厳格化、契約事務の適正化、(3)IT調達を長期継続契約から明示的に除外する、等である。両案提出により、参議院の行政改革特別委員会においても、談合・天下り問題が審議の中心となったが、与党は強引に政府の行政改革推進法案を原案通り成立させた。
なお、内閣官房より提出された「公益法人制度改革関連法案」についても、衆参両院の行政改革特別委員会にて行政改革推進法案と一括して審査に付された。同法案は、これまで主務官庁の自由裁量のもとにあった社団法人・財団法人の設立について、登記のみで簡便に設立できるようにするものであり、透明性向上にむけて一定の評価ができることから、民主党は法案に賛成し、法案は成立した。(詳細→)
また内閣府より提出された「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」(市場化テスト法案)についても、同じく衆・参の行政改革特別委員会にて行政改革推進法案と一括して審査に付された。民主党は審議のなかで生活者の視点の重要性を指摘し、「生活者の視点からサービスの質の向上を図るよう配慮」する旨の修正を与党が受け入れたため、これに賛成し、法案は成立した。(詳細→)
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