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国会レポート2007

第二章 『次の内閣』の活動

1総 務


2007.5.9 天下り根絶法案を提出


2007.6.9 総務部門・分権調査会合同会議を開催

 総務部門では、分権調査会、行政改革調査会、政治改革推進本部と連携して、民主党としての考え方や法案の取りまとめを行った。

基礎的自治体を重視した地方分権の推進

 2006年12月に「政権政策の基本方針」で国と基礎的自治体による新たなる「国のかたち」を目指すとしたことを受け、分権調査会では、新たなる「国のかたち」に至るまでの過渡的(5〜10年後)な国と地方のあり方について検討した。有識者や地方団体からのヒアリングや議論を重ねた結果、2007年5月に中間報告を取りまとめた。

 本報告は第一に、住民に一番身近な基礎的自治体の役割を大幅に拡充するとしている。具体的には、国から都道府県に大幅に事務事業を移譲するとともに、都道府県が担っている事務事業の2分の1程度を基礎的自治体に移譲するという道筋を示した。並行して、第二次平成の合併を推進すること等により、基礎的自治体の能力を拡大する。

 第二に、地方ごとの多様性を尊重する。自治体の人口規模や地理的条件などに応じて、市町村合併や事務事業の移譲等の分権に関する施策を推進したり、大都市に自治区を設けたりすることである。

 第三に、広域自治体のあり方については、当分の間、道州の画一的導入によるのではなく、現在の都道府県の枠組みで対応していく。都道府県連合や都道府県合併は必要に応じて認める。

地方交付税法等をめぐる問題を厳しく追及

 民主党は166回通常国会を「格差是正国会」と位置づけ、地方自治体間の財政格差など様々な格差の是正に取り組んだ。

 政府提出の「地方交付税法等の一部を改正する法律案」は、自治体の人口と面積に基づいて配分する「新型交付税」を一部導入するなど、小手先の対策を規定しただけであった。財政格差是正のための地方交付税の抜本的な改革案が欠如している点を民主党は厳しく追及した。

 また、政府は出生率など9つの指標の変動を「頑張りの成果」と位置づけて交付税算定すること等を内容とする「頑張る地方応援プログラム」を実施することを表明した。同プログラムは、運用を一歩間違えれば、地方が何を頑張るかに国が口出しすることになるうえ、自治体のプロジェクトを支援する名目で特別交付税を交付する「バラマキ」的な性格の強いものであった。

 同法案の国会審議は紛糾した。政府・与党はわずか3時間で衆議院の委員会審議を打ち切り、採決を強行した。民主党は衆議院本会議で、総務委員長の解任決議案を提出して強行採決に抗議するとともに、本法案にも反対した。本法案は参議院でも可決され、成立した。地方自治体間の財政格差の是正は先送りされることになった。

地方自治体の監査制度の充実強化

 2007年3月、長年の不適正な財務処理によって巨額の財政赤字を積み上げた夕張市は、財政再建団体に移行した。自治体財政に対する懸念が強まる中、政府は地方自治体の財政指標が一定基準よりも悪くなった場合に財政立て直しのための早期是正措置を義務づける「地方公共団体の財政の健全化に関する法律案」(地方財政健全化法案)を提出した。

 総務部門では、自治体の財務に詳しい団体や自治体からヒアリングを行った結果、本法案を機能させるためには、地方自治体の財政状況を正確に把握することが必要不可欠であるとの認識に至った。その後、検討を重ね、2007年5月に自治体の監査及び外部監査制度を充実・強化させるための改革案を取りまとめた。

 主な内容は、(1)監査委員の公募による選任、弁護士・公認会計士・税理士といった有資格者の監査委員への登用等により、監査委員の独立性及び専門性を高める、(2)全ての都道府県及び市に対して、議会・首長・住民から請求された事項について監査する個別外部監査を義務づける、(3)地方自治体に対して企業会計の慣行を参考とした貸借対照表等を整備するよう促すことである。民主党の提案によって、上記の改革案のうち(1)及び(3)が地方財政健全化法案の附帯決議に盛り込まれ、本法案は可決・成立した。民主党も本法案に賛成した。

放送番組編集の自由の確保を要請

 2006年11月、菅総務大臣がNHKに対して「拉致問題に特に留意すること」と個別の問題に絞った命令を行った。このような命令は、「時事」、「国の重要な政策」、「国際問題に関する政府の見解」と大枠を示すにとどめていた従来の命令とは異なり、放送法第3条に規定されている放送番組編集の自由を侵害するおそれがあるため、民主党は政府に強く抗議し、放送法第3条の遵守を求めた。

 また、政府は2007年4月、関西テレビの捏造問題、近未来通信の詐欺事件といった事案への場当たり的な対応を中心とする「放送法等の一部を改正する法律案」を国会に提出した。本法案は衆議院段階で継続審議となった。

天下りを背景とする税金のムダづかいの是正

 2007年3月、民主党の要請によって行われた予備的調査により、公益法人など4,576法人に2万7,882人もの国家公務員が天下り、公務員が天下った団体に対して平成18年度の上半期だけで約5兆9,200億円もの税金が流れていることが判明した。

 このような天下りを背景とする税金のムダづかいを是正するため、民主党は、衆参の各委員会において政府の天下りを背景とする税金のムダづかいの実態を厳しく追及した。それとともに、行政改革調査会と総務部門を中心に、「国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案」をはじめとする4法案(天下り根絶法案)を取りまとめ、166回通常国会に提出した。(詳細→

政治団体の支出の透明性向上

 166回通常国会では、政治団体の支出に不透明な点があるとの報道が相次ぎ、政治に対する国民の不信が著しく高まった。政治改革推進本部と総務部門では、政治団体の支出を透明にする「政治資金規正法の一部を改正する法律案」を取りまとめ、同国会に提出した。(詳細→