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国会レポート2007

第二章 『次の内閣』の活動

1法 務


2006.11.6 八王子市内の多摩少年院を視察


2007.4.18 衆議院法務委員会で少年法等一部改正案の
強行採決に抗議する民主党委員

 法務部門では、少年法改正案、犯罪被害者刑訴法改正案など10法案を審議し、少年法改正案に反対、信託法案と犯罪被害者刑訴法改正案に修正後賛成、残る7法案に附帯決議を付して賛成したほか、DV防止法改正案を超党派で発議、再婚禁止期間短縮法案を野党共同で提出、死因究明関連2法案を独自に提出した。

少年厳罰化おしすすめる少年法等改正に反対

 年少の児童による重大事件が相次いだことから、政府は2000年の法改正からさらに踏み込み、14歳未満の少年事件の厳罰化を盛り込んだ「少年法等の一部を改正する法律案」を2005年の162回通常国会(廃案)に続き、2006年の164回通常国会に再提出し、継続となっていた。

 民主党は、関係省庁・学者・日弁連などからのヒアリング、少年院や児童相談所の視察を重ね、非行をした年少児童については厳罰化ではなく児童福祉機関による家庭的な雰囲気のもとでの「育ち直し」こそ重要との観点で修正案を提出、与党修正案と原案に反対した。政府案は与党の賛成多数で修正可決・成立した。(詳細→

犯罪被害者団体等の意見踏まえ修正案を提出

 政府は、犯罪被害者等基本法と政府の基本計画に基づき、犯罪被害者の刑事裁判参加制度などを盛り込んだ「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」を提出した。民主党は犯罪被害者等基本法の制定を主導してきた立場から、これまで犯罪被害者が置き去りにされてきた刑事裁判のあり方を見直すことなど、この法案の基本的方向は評価するものの、犯罪被害者団体の間で法案への賛否が分かれていること、学者の間でも有力な反対論があることも踏まえ、賛否それぞれの立場の団体や学者、弁護士などからのヒアリングを重ねて慎重に見解を取りまとめ、衆議院で修正案を提出した。最終的に与党修正案と原案にも賛成したが、被害者参加制度と裁判員制度が同時に行われた場合、公正な裁判ができるのかという疑問の声は根強く、参議院であらためてこの点に絞った修正案を提出した。修正案は否決され、与党と民主党などの賛成で衆議院送付案通り可決・成立した。(詳細→

信託法現代化を専門的見地から検証

 政府は、制定から80年以上たつ信託法について、これまで解釈に委ねられてきた受益者の権利や受託者の義務を明確化し、今日の経済活動や福祉の向上に活用できるようにするとして「信託法案」、「信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を提出した。民主党は、法整備の趣旨には賛成できるものの、政府案が「別段の定め」により受託者の義務を大幅に緩和できるとしていること、企業会計など周辺ルールが未整備なまま導入されればマネーロンダリングや租税回避などの温床になりかねないこと、公益法人改革との整合性を欠く部分があることなどから修正案を衆議院で提出、与党との修正協議を経て法案は共同修正可決・成立した。

その他の法案への取り組み

 このほか、判事を40人とする等の「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」、執行官の恩給を廃止する「執行官法の一部を改正する法律案」、戸籍謄抄本を交付請求できる場合を制限する等の「戸籍法の一部を改正する法律案」に賛成した。自動車運転過失致死傷罪を新設する等の「刑法の一部を改正する法律案」は民主党が先んじて提出した飲酒・ひき逃げ厳罰化法案と方向を同じくするため賛成した。裁判員制度のもとで同一被告人に対する複数の事件が係属する場合、裁判員の負担を軽減するため事件を区分し部分判決を行えるようにする「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律等の一部を改正する法律案」に賛成した。犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を整理統合し社会内処遇の強化などを図る「更生保護法案」については、保護観察官の大幅な増員、地方更生保護委員への民間委員の積極的登用などの課題を附帯決議に盛り込んで賛成した。いずれも全会一致で可決・成立した。

共謀罪法案は修正方針を見直し反対を確認

 共謀罪の新設を盛り込んだ「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」は、164回通常国会で民主党修正案と二つの与党修正案が提出されたものの継続審議となっている。民主党修正案は共謀罪の対象となる犯罪を大幅に削減する内容だが、その後、米国が共謀罪の犯罪化条項を留保して条約を批准していたことが判明した。また条約が定める重大犯罪のほとんどがわが国では現行法ですでに予備罪、準備罪、幇助犯、共謀共同正犯、犯罪周辺活動の犯罪化等によって処罰対象とされていること等も踏まえ、わが国としては何ら新規立法をすることなく条約を批准できると判断し、法案修正の方針を変更し、法案に反対することを確認した。

再婚禁止期間短縮法案、死因究明法案を提出

 継続審議となっている「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」(取調べ可視化法案)、「民法の一部を改正する法律案」(選択的夫婦別氏等法案)に加え、新たに「民法の一部を改正する法律案」(再婚禁止期間短縮法案)と「非自然死体の死因等の究明の適正な実施に関する法律案」、「法医科学研究所設置法案」(死因究明制度関連2法案)を166回通常国会に提出した。

 再婚禁止期間短縮法案は、女性について離婚から6か月間再婚を禁止している民法733条1項の規定について、嫡出推定が二重に及ぶことを防ぐための合理的な最短の期間である100日に改めるもの。死因究明制度関連2法案は、近年、犯罪死や事故死を病死と取り違えていた事案が相次いで明らかになったことから、非自然死体の死亡原因、犯罪の嫌疑の有無などの究明に関し都道府県警察に死因調査専門職員を置くなど必要な手続と方法を定めるとともに、死体の検案・解剖・鑑定などの科学的調査を行う法医科学研究所を国の機関として設置するもの。このほか、民法の嫡出推定規定の見直し、銃器犯罪対策の強化などについて議論を進めてきた。また、裁判員制度をテーマとするタウンミーティングでのサクラ行為、朝鮮総連ビルをめぐる公安調査庁元長官の詐欺事件、新司法試験考査委員による情報漏洩疑惑など、法務省に関係する様々な不正や疑惑についても部門会議や衆参法務委員会で事実解明と是正を厳しく求めた。