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国会レポート2007

第二章 『次の内閣』の活動

1経済産業


2006.11.29 官製談合防止法案の衆院質疑


2007.2.26 ふげん・もんじゅを視察

 経済産業部門では、新たな中小企業・地域産業政策の策定、続発する官製談合の防止、国民の生活に関わる製品安全対策、及びエネルギー政策、海洋法制の整備などについて重点的に取り組んだ。特に「中小企業憲章」策定に向けて、部門内に経済政策委員会を設置し、精力的な検討を行った。

官製談合の根絶に向けて

 民主党は、官製談合の根絶を図るため、163回特別国会及び164回通常国会に「官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案」を提出した。与党も164回通常国会に「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案」を提出したが、両案とも継続審議となった。その後、福島県、和歌山県、宮崎県などで官製談合事件が相次いで発覚したことから、165回臨時国会において両案の審議が行われた。与党案は、罰則こそ民主党案より重いものの、刑法の適用を避け、罰金刑による裁量の余地を残していること等、談合を追及する姿勢が根本的に欠ける内容であった。民主党は、見せかけの与党案に反対し、参議院においても民主党案を提出して審議に臨んだが、民主党案は否決され、与党案が成立した。

 しかし、2007年1月、国土交通省発注の水門工事を巡る官製談合が発覚したことから、民主党は、官製談合防止・公共調達適正化対策本部で問題を厳しく追及する一方、165回臨時国会における改正では不十分であり、再度抜本的な法改正が必要だとの認識の下、166回通常国会に「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律及び刑法の一部を改正する法律案」(官製談合防止法等改正案)、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」(独占禁止法改正案)を提出した。(詳細→

製品安全対策への取り組み

 一酸化炭素中毒による死亡事故や、機器の誤使用による指切断事故など、消費者の生命や身体に関わる重大事故が相次いで発生したことを受け、政府は165回臨時国会に、事故情報収集体制の強化、国民への製品事故情報の提供等を内容とする「消費生活用製品安全法改正案」を提出した。

 民主党は、事業者に製品の危険情報の公表を義務付ける「消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案」(危険情報公表法案)を164回通常国会に再提出しており、内閣委員会にて継続審議となっていた。包括的な物品を対象とした民主党案に対し、政府案は、対象範囲が狭く、また対応が遅きに失したことは否めないが、半歩前進を認めて賛成した。

中身なき政府の中小企業・地域産業対策

 政府は、2006年7月に発表した「経済成長戦略大綱」の法的枠組みを整備するため、166回通常国会に「産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案」、「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案」、「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案」(経済成長戦略大綱関連3法案)を提出した。これらは、経済・中小企業活性化の目玉と位置づけられていたが、旧来からの政策を名前だけすげかえて新規対策に見せかけているもの、従来の施策を経済成長戦略の一環であると強弁しているもの等がほとんどであり、真新しい中身もなく、抜本的な中小企業対策とは到底言えない内容であった。ただし、不十分ながらも地域の中小企業に対する支援策等が盛り込まれており、本法案が成立しないと経営に影響が及ぶ事業者もいると考えられたため、慎重審議を行った上で、賛成した。

 また政府は、2006年に成立した行革推進法等に基づき、166回通常国会に「株式会社商工組合中央金庫法案」を提出した。これは、完全民営化までの移行期における商工中金のあり方を規定する内容で、株式会社化による資金調達コスト上昇の懸念と、中小企業金融円滑化に逆行する可能性、完全民営化後の姿が示されないこと、天下りの実態も明らかにされないこと等、問題点も多い。しかし、民営化への流れは否定するものではないことから、法案には賛成した。

「中小企業憲章」を策定

 民主党は、「政権政策の基本方針(政策マグナカルタ)」に基づいて、中小企業はわが国経済の基盤であり、雇用とビジネスチャンスを生み育てる源泉と位置づける「中小企業憲章」を策定した。その内容は、(1)次世代の人材育成・職業訓練の充実、(2)公正な市場環境の整備と情報公開、(3)中小企業金融の円滑化、(4)技術力の発揮と向上、(5)中小企業の声に耳を傾ける仕組みづくり、等であり、省庁の縦割りを超えて、政府全体で中小企業を支援するものである。同時に、不当廉売や優越的地位の濫用による下請けいじめを防止し、下請け業者に対する禁止事項を明確にする「中小企業いじめ防止法案」(仮称)の骨子をまとめた。これは、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止するとともに、公正取引委員会の権限を強化し、独占禁止法の見直しや厳格な運用を行う内容である。

エネルギー政策の取りまとめに向けて

 エネルギー政策調査会では、経済産業部門が取りまとめたエネルギー戦略の「経過報告」を受けて、関係省庁、各種団体等からのヒアリングや、新型転換炉「ふげん」・高速増殖炉「もんじゅ」の視察、映画『不都合な真実』の鑑賞など、幅広く活動を行った。その上で、エネルギー安全保障の確立やエネルギー効率化計画の策定等を内容とする「中間整理」を取りまとめ、今後も議論を重ねていくことを確認した。

 また、民主党が163回特別国会に提出し、継続審議となっていた「海洋権益2法案」については、海洋法制プロジェクトチームを設置し、民主党案を基とする「海洋基本法」を超党派で成立させた。(詳細→

知的財産権・コンテンツの保護

 民主党は、知的財産保護の観点から、166回通常国会において、映画館で上映中の映画の盗撮を防止する「映画の盗撮の防止に関する法律案」を超党派で成立させた。