5. 視察・会談要録 |
5-3. イクバル国連開発計画(UNDP)駐パキスタン副代表との会談 |
- 震災対策で問題となったのは政府にも軍にも全く備えがなく、組織的対応が取れなかったことだ。国の機関が連携協力して稼動するのに数日を要した。更には、降雨もあり、救助活動が遅れた。
- UNDPは被害状況の把握に努めている。4日が経過し生存率が下がり、犠牲者数は確実に増える見通しだ。
- パキスタン軍が捜索、救助、救援活動の中心を担っている。被災者数が400万から500万にのぼり、多様なニーズが存在する。優先化は困難だが、挙げるとすれば避難施設だ。
- 被災者の中でも貧困層は移動できず、被災地に残ったままである。200万人分の避難施設が必要である。現在野宿を余儀なくされている。
- 食料や水、医薬品も不足。電気が通っていない。湧き水が普段使えるのだが、余震で汚染が進み、飲むことができない。
- 山岳地帯の被災地では道路が寸断され、救援物資が届いていない。救援活動を確実にするヘリコプターがもっと必要だ。
- 捜索、救助の第1段階から復旧などの次の段階に移り始めている。政府は初動が遅れ、
第1段階に上手く対応できなかった。いまだに被害状況を把握できない地域がある
。
- 政府、軍、地方政府、国連機関の間のコーディネーションが不十分である。コミュニケーションラインも不明確である。こうした実態が救助活動の重複や遅れを招いている。
- 日本のプレハブ住宅は大変参考になる。
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イクバル駐パキスタンUNDP副代表 |
5-4. ピース ウインズ・ジャパン救援活動スタッフとの意見交換 |
ピース・ウインズ・ジャパンの平井礼子さんからバラコートで展開中の救援活動につい
てブリーフを受けた。なお、会談の最後に民主党議員義援金の一部を救援活動に役立てて もらうため寄付した。
- 甚大な被害が出ているバラコートで救援活動を展開。一見すると、物資が豊富だが最も必要なテントが不足している。
- テントの手配、配布に優先的に取り組んでいる。1000張りのテントを調達した。テントは重複を避けるため家族での登録作業を行い、登録者のみに配布していく。
- テントは冬仕様である。山岳地帯での越冬には厳しいかもしれない。
- テント配布にあたってのセキュリティー確保のため、地元状況に詳しいローカルスタッフの協力を得ている。
- バラコートは山間にあり、テントをまとめて張れるほどの空き地がない。倒壊した家屋のそばにテントを張らなければならない。こうした地理的状況が配給をスムーズに進められない要因になっている。
- この援助プログラムの予算は6000万円。ジャパン・プラットフォームの枠組みから支援を受けている。最低1ヶ月、事情によっては2から3ヶ月間支援を継続するために現地スタッフを雇っている。
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右端が平井礼子氏
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