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国会レポート2002
contents contents |目次|序文|資料1|資料2|資料3|
第2章 ネクスト・キャビネットの活動


6 外務部門、安全保障部門


外交の立て直し:外務省刷新
 絶え間なく変化する国際社会において、外交の停滞は一瞬たりとも許されない。しかし、わが国の外交は、松尾事件以来、不祥事、処分や人事をめぐる田中外相と外務官僚との対立、アフガニスタン復興支援国際会議での特定NGO排除問題等が続発した。また、北方支援事業、ODA、コンゴ民主共和国大使館関係など不当な関与と政官癒着による汚職や外交の私物化も明らかとなった。さらに、不審船事件や瀋陽総領事館事件等では、ずさんな危機管理体制、組織的隠蔽体質やモラル低下により外交は機能不全に陥った。その結果、米ロ核戦略、京都議定書、中東・南西アジア地域への対応、日本人拉致問題、セーフガード、北方領土問題など山積する外交課題について、米国・北朝鮮・中国・ロシア等との重要交渉は停滞と漂流を続けた。
 民主党の厳しい追及に耐え切れず、小泉首相は田中外相を更迭したが、川口外相のもとでも外務省の改革は進んでいない。外務省は、その都度、泥縄式に処分や改革案等を発表してきたが、いずれも日本外交への危機感に乏しく、悪弊を糊塗するばかりで、新時代への外交をめざすという問題意識の片鱗さえない。民主党は、外交の立て直しには抜本的な外務省刷新が必要として、国会審議で厳しく政府を糾す一方、2002年7月に「外務省刷新:7つの柱」(外交のあり方と組織使命、戦略、組織、人的資源、監査、海外援助と国際開発、情報収集の刷新)を提起し、国際社会の状況に応じた外交が展開できる体制を早急に整えるよう迫っている。

同時多発テロへの対応
 153回臨時国会中の2001年9月11日、米国で発生した同時多発テロは、その後の国際政治の枠組みを大きく変えた。民主党は、即日、同時多発テロ対策本部を設置した上、外務・安全保障部門合同会議で、テロに毅然と対応するため、国際協調の枠組みで自衛隊の活用も含めた新たな対応、中東和平やアジア外交、国連等での外交イニシアチブ、難民支援や国内対策などの方針を策定した。さらに、米軍等がアルカイーダ殲滅のためアフガニスタンにおける武力攻撃を準備する中、犯人の特定や国連決議、国会の関与、任務地などについて、わが国が憲法の枠内で国際的協調行動に参加するための基本方針を取りまとめた。
 政府は10月5日、テロ対策特措法自衛隊法改正案等を国会に提出した。民主的統制を確保するため国会の事前承認を求めた民主党の主張に対し、与党修正は事後承認という不十分なものであり、法案には反対した。ただし、同法による「対応措置」は、憲法の枠内であり、武力行使と一体化しないと判断し承認した。
 そもそも国際テロを撲滅するためには、テロの原因を除去しなくてはならない。民主党は、予防外交を推進し、対話と和解を促進するとの観点から、党の国際的活動を推進するとともに、引き続きアフガニスタンの復興支援、ODA等を活用した貧困対策、中東和平など、外交上のテロ撲滅への取り組みを強く政府に求めていく。
 また、2002年5月7日、政府が「基本計画」の6カ月延長を決定した際、民主党は改めて国会承認を求めたが、政府は延長を強行した。今後、イラクを巡る国際情勢や派遣自衛隊の実態が変化する場合などは、改めて国会承認に付し、審議を尽くして対応を決めるよう求めていく。

国連平和維持活動(PKO)の見直し
 PKOは、法制定から9年間で活動実績を積み重ね、国民の理解も深まってきた。民主党は、国際的な平和維持にさらに積極的に貢献できるよう検討を重ね、2001年11月、PKO5原則の見直し、凍結されていたPKF本体業務の解除、任務実態にあった武器使用基準の見直し、PKO訓練センターの設置などを「民主党PKO改革案」として提起した。政府が153回臨時国会に提出したPKO法改正案には、上記の民主党の方針に沿うものとして賛成した。今後も、わが国のPKOがより実効性の高いものとなるよう態勢等の整備を求めていく。

緊急事態法制
 民主党は、緊急事態に対処する法制の整備は必要との立場から、プロジェクトチームでの議論の蓄積を踏まえ、関係4部門合同会議で検討を重ね、2002年3月に「緊急事態法制に関する基本方針」を決定した。緊急事態にあって、国民の生命・財産・基本的人権を守り、民主的統制を確保した上で、政府が円滑かつ的確な行動を取れるように方針を示した。
 政府が同年4月に提出した有事関連3法案の審議に真摯に臨んだが、政府案は、自衛隊行動を優先し、民主的統制、人権規定や国民保護法制が不十分で後回しになるなど多くの基本的な問題があり、また、公文書偽造疑惑や情報公開請求者個人リスト作成など防衛庁の組織体質やモラルの問題、ずさんな政府答弁の繰り返しと不用意な核発言など審議姿勢にも重大な問題があり、廃案と出し直しを求めた。



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