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岡田代表 外交・安全保障ビジョン「開かれた国益」をめざして ENGLISH

■本 文 > I. 10年後の世界と日本
I. 10年後の世界と日本

私たちのビジョンは、現実の国際政治状況を踏まえつつ、同時に2015年の世界をも展望した上で構想する未来志向のビジョンである。10年後の世界を正確に予測することはもちろんできない。しかし、(1)米国の今後の外交安全保障政策が国際協調を重視する方向に向かうのか否か、(2)アジア、とりわけ中国の台頭が安定要因となるか否か、(3) 国際機関を含めたグローバル・ガバナンスが強化されるか否か、という3つの要素が非常に重要な意味を持つことは間違いない。これらの要素を悲観的に考えれば、最悪の場合、(1)米国の単独行動主義が先鋭化し、国連安保理決議が得られないままに米国単独あるいは有志連合による先制攻撃が繰り返されて国連安全保障理事会の役割が失われ、世界中で自らの「正義」を掲げた国々による紛争が多発するケース、(2) 偏狭なナショナリズムがアジアで主流となる一方、台頭を続ける中国が自国利益の確保を優先させて行動する結果、中国が地域に対する脅威となり、地域の安定と経済的繁栄が失われるケース、(3)米欧対立や開発途上国と先進工業国との対立、国連自身の非効率などが国際機関の機能低下を招き、グローバル・ガバナンスが失われて大量破壊兵器(WMD)の拡散と環境破壊、感染症の蔓延などに有効な手を打てなくなるケースなど、10年後の世界が悲劇的な状況に陥っている可能性も否定できない。しかし、私たちの努力によっては、より良い社会を実現する別のシナリオを考えることもできる。私たちのめざすべき「10年後の世界と日本」の望ましいシナリオは以下のようなものである。
私たちのシナリオ、私たちの実現すべき2015年の世界
    ―国際協調主義の米国、「安定と成長」のアジア、
                                          グローバル・ガバナンスの確立―
  私たちが実現すべき望ましい世界とは、米国が国際協調を重視する路線に復帰し、軍事力の行使は国連決議に基づくべきという集団安全保障の規範化が国際的に浸透している社会、異なる宗教、文明間の対話、相互尊重が国際的風潮となり、中東においても安定的な秩序が少しずつ根付いている世界である。

この世界においては、日本は自国の防衛とアジア太平洋地域の安定のために、独自にかつ米国の同盟国として適切な役割を果たしている。また、日本が国民の期待に応え、アジアの声を反映する形で米国の外交政策決定に貢献する局面も増えている。在日米軍基地の問題、地位協定の問題も大幅に改善されている。

アジアでは東アジア共同体がその歩みを一段と踏み固め、世界の成長センターとなっている。アジアでは自由貿易協定(FTA)のネットワークが張りめぐらされ、多くの国で民主化が進展し、政治的安定性も高まっている。日本のリーダーシップと、国際社会に大国としての責任をもって関与する中国の姿勢によって、東アジア共同体は政治・外交的にも存在感を増し、エネルギー政策、環境政策、金融政策などにおいても地域的な取り組みが本格化している。安全保障面では、信頼醸成措置の確立、対話の深まり、平和維持活動の共同の取り組みなどにより、地域安全保障体制確立に向けた動きが強まりつつある。中台関係、北朝鮮問題についても戦争の脅威はなくなった。日本と近隣諸国との間では、政府レベル、国民レベルの双方で相互信頼感が高まっている。

国際社会では、「世界の安定は、米国のみでも、米国抜きでも不可能である」という現実が冷静に受け入れられるようになった。米欧の協力関係も修復され、アジア、アフリカ、ラテン・アメリカなどの国々においても、国際機関がただ米国の利益に奉仕するだけのものではないとの認識が広まって、国際機関の正当性と有効性が回復している。さらにまた、平和構築・国際的な国づくりに対する支援が強化され、破綻国家は減少している。貧困対策、法を適切に執行する能力の向上などで広範囲かつ総合的な多国間協力が実行されたことと相まって、テロ、国際的な組織犯罪を封じ込めることができるようになった。NPT体制は再構築され、非核化への機運が再び高まりつつある。技術革新に加えて、主要国や開発途上国も参加したポスト京都議定書レジームが確立し、環境問題解決の期待が高まっている。いくつかの感染症については撲滅宣言も間近である。また、国際機関や日本政府では、NGO、企業、市民団体等による外交参加が進んでいる。

日本は国連安保理常任理事国となり、アジアを始めとする国際社会の平和と繁栄のために建設的な提言と活動を行う一方、国連改革のために努力している。中国、インドなどの経済発展のため、世界経済に占める日本の相対的地位は低下しているが、技術、文化など、その魅力は今以上に高まり、平和で豊かなアジアを実現するために大きな貢献を行う国として、地域と世界の尊敬と注目を集めている。

そうした世界と日本を実現できるかどうか、これは今後の私たちの行動にかかっている。本ビジョン『「開かれた国益」をめざして』は、ここに示した望ましい世界実現のためのビジョンとして作成するものである。

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