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岡田代表 外交・安全保障ビジョン「開かれた国益」をめざして ENGLISH

■本 文 > V. 「開かれた国益」実現のために
V. 「開かれた国益」実現のために

これまで、外交安全保障政策は政府と一部の専門家によって議論され、国民の生活と安全に直結するものであることの説明が十分であったとは言えない。外交安全保障政策をすすめていく上で、国民がその必要性を理解し、国民の共感を得ることができるものであることが重要である。同時に、国民が「内向き」志向に陥ることなく、同じアジア人、そして同じ人間として共感を持って、外交安全保障問題を考えることができるよう、国民参加型の分厚い外交体制を構築していく。

外交安全保障政策を実行するためには、力とリーダーシップと外交インフラが必要であり、私たちはそれを準備している。その上で、新しい政府は「自信に裏付けられた謙虚さ」を持って、平和で豊かなアジアの実現、日米関係の進化、世界の平和と安定への貢献という3つのビジョンを実現する。

1. ソフト・パワー立国
  戦後の日本は、民主主義と経済成長によるのみならず、戦前・戦中の失敗から教訓を学び取り、廃墟から立ち上がった歩みそのものが世界に受け入れられてきた。こうした日本の姿は、苦労しながら国づくりに献身する世界の多くの国々にとって励みと希望を与えてきた。こうした意味も含め、日本は「ソフト・パワー立国」への道を追求する。

日本が追求する力は、豊かな文化、高度の技術力、安全で豊かな社会といった魅力ある国、信頼される国としてのソフトな力であり、軍事力に頼り、「力の外交」を志向することではもちろんない。日本が魅力ある国、信頼される国になるためには、軍事力に代表されるような強制力によってではなく、外交力によって、つまり、経済的豊かさ、文化的魅力、技術力、社会的知恵といった魅力に加え、政治理念、外交理念も含めた国のかたちそのものが問われることになる。そこでは、経済や文化面での魅力に加え、外交理念も含めた国家イメージそのものが問われる。私たちの『ビジョン』を実行に移すことによって、そうした国のかたちを実現すべく、日本の政治・経済・外交を確実に変えていかなければならない。

世界に対して開かれた国、多くの機会のある国、アジア人としての誇りを持ち、「アジアと欧米との連結器」となれる国、世界平和の実現、貧困問題の解決など人類の未来のために理想を高く掲げ、その実現に向けて積極的に貢献する国、核兵器廃絶の理想を掲げて、核拡散防止にイニシアチブをとる国、そして政府ばかりでなく、NGO、企業、個人がさまざまに世界に積極的に関与し続ける国――それが2015年の日本の姿であり、日本が世界に発信する魅力である。

このような魅力とパワーを持つ国をつくり、「開かれた国益」を達成すること、そしてより良い10年後の世界と日本をつくることが、新しい政府の責任である。

2. 外交インフラの強化
  外交インフラなくして、『ビジョン』の実行はない。グローバリゼーションの時代の外交は、外務省だけでは行い戦えない。新しい政府は、中央政府の官僚のみならず、大学、研究機関、経済人、自治体、NGO、海外在住日本人など、日本の総力を挙げた「オール・ジャパン」の陣容で臨み、外交インフラを強化する。

官邸機能の強化と外務省改革は不可避である。まず、戦略・政策の立案能力を強化し、その中枢機関として総理直属の外交安全保障担当補佐官を常時配置するとともに、安全保障会議を大幅に機能強化する。

外務省の改革をさらに進め、外交執行能力を高める。大使の任命は、学者、NGO関係者、首長や政治家経験者など民間人の登用を少なくとも2割以上とし、特に、米中など主要国の大使には適材適所で民間人の積極的な登用を行う。これにより、「オール・ジャパン」の外交を推進するとともに、国民に支持される外交体制を構築する。国連大使には閣僚級の地位を与え、総理の政治任命とするとともに、国連代表部を抜本的に拡充し、安全保障理事会常任理事国としての責任を果たすことのできる体制を整える。また、歴史問題、文化・スポーツ、NGO、環境、軍縮、地域協力、ODAなどの機能に着目した総理の特別代表または移動大使(外交使節として各国を巡回する特命全権大使)を政治任命する。外務省職員には、国際機関で活躍できるプロとして、世界の平和と安定、日本の国益とプレゼンスの向上のために貢献することを期待する。

併せて、政策展開に不可欠な情報能力を強化する。情報コミュニティを統合・強化するとともに、内閣が情報を一元的に把握して評価する仕組みを導入する。具体的には、内閣直属の内閣情報委員会(仮称)を創設し、国家の外交、防衛、治安上の重要課題について必要な情報の評価を行い、政策決定に活かす。また、官民の知恵を集めて地域研究を充実させ、外交政策の立案過程に反映させることも重要である。

3. 自信に裏付けられた謙虚さ
  いままでの外交は、米国任せで主体性を欠き、アジア地域秩序の構築力を持たず、国際機関のガバナンス改革のビジョンも欠いていた。こうした外交の延長線上で10年後に待つのは悲観的な世界でしかない。その徴候は行きづまった現政権の外交に既に明確に表れている。このような外交政策は、日本の「開かれた国益」を傷つけている。

これに対し、新しい政府は、近隣諸国との相互信頼を踏まえながら、東アジア共同体を創造し、日本と米国が共に主体的に関与し行動する日米関係を構築し、世界の平和と安定に積極的に貢献する。アジア、わけても近隣諸国と信頼関係を築くことが、日本外交の幅を広げ、創造的な外交を可能にすることを、繰り返し強調しておきたい。こうした政策によって10年後に望ましいシナリオが現実のものとなった世界をつくること、これこそがわが国の「開かれた国益」の実現である。

ゼロ・サム的な国益概念、排外的ナショナリズム、他の国々への無関心は、いずれも無用かつ有害である。私たちは「開かれた国益」をめざし、世界とともに生きる外交を、強い政治意志を持って実現していく。

東アジアを中心とした国々の経済と民主主義の発展のために戦後日本が果たしてきた役割に、私たちは誇りと自信を持つべきである。世界の紛争地域では、多くの日本人がNGO、海外青年協力隊、国際機関の一員として活躍しており、そうした人々の姿は、わが国の将来について大きな希望と自信をもたらすものである。

新しい政府の外交安全保障政策の基本を一言で表すとすれば、「自信に裏付けられた謙虚さ」と表現できる。自信があってこそ、多様な価値観を認め、他者に対し寛容であり、自らの過ちに対し率直であることができる。即ち、謙虚であることができる。新しい政府は「自信に裏付けられた謙虚さ」を持ち、アジアにおいても、世界においても、その責任を果たしていく。アジアと世界の人々とともに生きる日本の実現こそ、日本の「開かれた国益」であり、私たちが新しい政府のもとで成し遂げなければならない、次の世代に対する責任である。

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